#95 家に床暖房は必要か

現在のマンションの供給量のうち約8割が床暖房を標準装備にしています。それは床暖房は快適だと誰もが思っているからです。
昔から「頭寒足熱」といって足元をあたためるのは快適だと言われてきました。しかしこれからの家のことを考えると、こうした定説が当てはまらなくなりつつあります。 現在、断熱性能を向上させた家を作ろうとする時には、床、壁、天井、そして部屋の空気まですべての温度を同じにしていこうと考えます。部屋の温度が低い場合は床が暖かいのは気持ちがいいのですが、家の中の温度が適温に保たれてムラなく均一だと寒さを感じることがなくなります。常に春や秋のような快適な状態に保たれます。春や秋に床暖房をつける人がいないように、その環境では床暖房を求めなくなります。もちろんそのためには高い断熱気密性能の家であることが条件です。いくら暖めても断熱性能が悪ければ温度を一定に保つことが難しくなって、部屋の中に温度差がでてしまいます。部屋毎に温度差があっても寒さを感じてしまいますので、それをなくすには冬の間は全館空調にして連続運転にし、さらに熱交換機で行う空気の入れ替え時に外の冷たい空気が入ってこないような仕組みや、湿度のコントロールもできるような仕組みが必要になります。連続運転だと光熱費が心配になる人も多いでしょうが、高い断熱気密性能の家では小さな熱源で十分に暖めることができるので、温度を上げたり下げたりするより連続運転で一定に温度を保っていた方が実は経済的にもなります。
もうひとつ温度に関して、「熱伝導率」という熱の伝わり方の速度についても忘れてはなりません。鉄や石の表面は、熱を速く伝えます。木はゆっくり伝わります。部屋の中で裸足の場合、足の裏から体温が奪われる速度によって寒く感じたり暖かく感じたりするのです。直接触れる部分の感触はそういったことから大事になるでしょう。冬にはフローリングの上に熱伝導率の低いカーペットを敷くというのも寒さを和らげる有効な方法です。

 

いかがでしょうか。床暖房と断熱気密性能について、みなさんはどのように考えていますか。ご意見お寄せください。