#96 集合住宅再考 vol.1~ 一般解が変わる時代へ

「nLDK」は1960年代に間取りの標準形を作り出す中で生まれた、日本独自の概念です。寝室=nとして表します。子供に専用寝室が作れなかった日本では、高度成長時代には、寝室=個室の数を充足していくことが一般的な家族の住宅への欲求でした。決して大きくはない家でこれを実現させるために、個室を極力小さくしLDKを広く作っていくということが大きなテーマとなりました。1970年後半には現在の標準型となる、廊下から各部屋につながるマンション間取りが定着してその後大きな変化はしてはいません。しかし時代は大きく変わろうとしています。かつて一般的とされた両親と子供二人という家族の形は、子供のいない家族、一人暮らし、成人した子との暮らしなどといった現実に多くある暮らしと離れつつあります。さらに「子供が小さいうちは個室はいらない」とか「一室空間を家具などで仕切って暮らす」という考え方も広がっています。また、働き方の変化により家で仕事をするためのワークスペースを必要とする人もいます。家族の形態、働き方、暮らし方 それぞれが大きく変化しています。また高齢化が進む日本の社会では、最終的には一人で長く暮らすことにもなるでしょう。

 

かつては、多くの人のライフステージはわかりやすく変化していきました。一人暮らしから結婚して二人暮らしになり、子供が出来て子育て・・・というライフステージに合わせて、住宅の持ち方を双六になぞらえ、まずは賃貸で暮らし、結婚したらマンションを買い、庭付きの戸建てに買い替える・・・という双六の「あがり」のイメージを多くの人が共有していた時代がありました。しかし今の時代は先に触れたように多種多様で、ライフステージの変化も予測しにくくなりつつあります。
こうした時代の家の持ち方、様々なライフスタイルにどう家を合わせていくのか。

 

現代の集合住宅のありかた、持ち方、住まい方を数回に分けて考えてみたいと思います。

 


皆さまからのコメント

ご指摘のように双六の上りかどうか判りませんが、最後は後期高齢者2人で、一人になった時の事を考え、生活の利便性を最優先と考え駅近のマンションをこれまでいくつも見て参りましたが、現在の家財道具から見て、収納スペースの矮小、価格、何よりまして、不必要な家財道具の廃棄、更新等々考えると、各社のモデルルームを拝見しても我々の生活イメージが湧きません、いつも疲労感が残るのみです。新たな発想で、2〜3世代同道(同一マンションに親、子、孫が住める)の設計ご提案をご検討下さい。(神奈川県・男性・80代)
事務局より
コメントありがとうございます。家財道具の収納については戸建てからの住み替えの場合、特に悩ましいですよね。スマイラボではこれから求められる新しい暮らし方や住まい方の提案について、考えていきたいと思います。同じマンションで暮らす「マンション内近居」についても研究テーマとしています。これからもコメントをお待ちしております。
家は一生の買い物ではなく、今の生活から10年程度のスパンで検討、購入する考えになれば良いのではと考えています。(東京都・男性・50代)
事務局より
コメントありがとうございます。ライフスタイルや居住人数は時と共に変化しますよね。間取りを柔軟に変えられる住まいや家をもっと気軽に住み替えたり、買い増したりできる文化になるとよいですね。これからもコメントをお待ちしております。