#105 集合住宅再考 vol.10〜 マンション内近居と共用空間(ランドリーカフェ)

前回に引き続き、近居の暮らし、同じマンションの中に40平米の家を2つ持つ暮らしの共用空間について、マンションの外部に開くことについても考えてみました。
下の図面をご覧ください。

 

 

図面

 

みなさんはランドリーカフェというのを聞いたことはあるでしょうか。最近は海外でも日本でもおしゃれなランドリーカフェが登場しています。カフェの中にランドリーがあって、洗濯をしている間はカフェで過ごせるよう場所を持ったものです。元々、ランドリーはその機能のみが設置された場所でしたが、地域の人々、特に子育て中の親御さんにとって洗濯は毎日かかせないもの。この機能にカフェを併設することによって、新たなコミュニティスペースとして注目されているのです。たしかに待ち時間は退屈ですし、子供を連れていっても、お互いの親御さんが一緒にいることで子供にも目が行き届きます。

 

図のように、ランドリーは乾燥機付き洗濯機と大型乾燥機をそれぞれ3台、上下2段で計6台置き、洗濯物をたたんだりアイロンをかけたりするスペースを設けています。そしてこの場所の手前にカフェを作ってみました。カフェではお茶を飲むだけでなく簡単な食事などもできると楽しそうです。このランドリーカフェは、内部の人だけでなく外の人たちも使えるように外部からの出入りもできるようにしてみました。

 

ランドリーカフェの両脇には、住人が使えるキッチンとワーキングスペースがあります。外部のテラスには屋根をつけて天気の良い時は外を使います。外部から内部の様子が見えるのでお互いに声をかけやすい状況です。キッチンは、一人でも大人数でも、いつでも気軽に使えるようにコンロを多めに置いています。テーブルは移動可能なものにして一人でも大人数でも食べられるようにし、また、外のテラスへ行けるようになっています。ワーキングスペースは、副業や起業する人も増えている今の時代に対応したものです。集中できるように衝立をたててプライバシーを確保しています。

 

これらのキッチンやワーキングスペースの管理は、カフェの人が管理します。それぞれのスペースに専属の人を置くのではなく、カフェがそのつなぎ役となることで、様々な人のサポートになり住人同士をつないでいくことも起きそうです。カフェのキッチンと共有のキッチンは分けています。誰もが使いやすくするためには、いつも開かれていて掃除も行き届いている環境が必要です。カフェを中心に様々な機能をサポートしながらコミュニティをつくっていく、ということを考えてみました。イベントなどで時々外部の人を呼べるような機会をつくるのもいいでしょう。

 

このランドリーカフェは、外部の人も使えるようにしているところも重要な提案です。従来の大型マンションの共有施設は、内部の人を中心に考えていました。しかしマンション内の住人のニーズは年齢層も似てくるため使い方も偏りが生まれます。また使われる頻度が少ないと運営費が賄えなくなりますし、内部の人たちだけではコミュニティが固定化されて窮屈にもなります。心地よいコミュニティには適度な流動性があって、新しい出会いも必要だと考えます。

 

また地域との関係が生まれることも、いざという時のためにマンションの住人にとって重要になります。マンション内だけで閉じないようにすることで、ある程度の流動性をもたせることを考えています。

 

いかがでしょうか。40平米の家を2つ持つこと、決して広くない家でも共有施設を充実させることで狭さをカバーする、という考え方。
みなさんのご意見をお寄せください。