#106 テクノロジーの進化と我々の暮らし Vol.01〜 音声デバイスの出現

音声デバイスの出現はコンピューターと人間との関係を新たなステージへと変えていくようです。Google HomeやAmazon Echoといった音声デバイスを使っている方も多いことでしょう。まだまだ発展途上ではありますが、なにかを調べたり、テレビや照明と連動したり、または好きな音楽や番組を流したり、代わりに電話をかけたりということは簡単にできるようになりました。音声デバイスがキーボードと同じ役割をしているのですが、キーボードを使わないということは、まるで機械が人間であるかのような親密感を作り出します。実際にはコンピューターは声をデジタルに変換しているのですが、感覚としては会話をしているような感じになります。さらに人工知能は、自らの経験を情報として記憶し、整理し、学習をしていきます。そうなると機械は人間にどんどん近づいていきます。機械が人間の脳を超えるにはあと20年ぐらいはかかると言われていますが、キーボードやマウスを使わないで機械とコミュニケーションをすることは我々の意識を大きく変えるはずです。かつてマウスの登場が画面上に自由に画像をつくれるグラフィック機能を生み出していったように、音声デバイスは我々に今までとは違った人と機械とのコミュニケーションをもたらすでしょう。マウスがそうであったように、様々なアプリケーションが開発されるでしょう。

 

先日IT分野の最前線で活躍する井口尊仁さんの話を伺いました。トラスパレンテという新しいアプリケーションを開発した方です。会議の内容やキーワードを自動的に読み込み、関連する画像やグラフを会議室のスクリーンに映し出していくというソフトウェアです。音声をテキストに変換するだけでなく音声から関連するデータを画像で見せることで、その会議がどんなことをテーマに話しているか一目でわかります。さらに会議中キーワードの多い順に関連画像を並べて、サマリーを作ることも簡単にできるそうです。このように人間の言葉を認識していく技術の発展は人間と機械の間だけでなく、人間と人間の関係も変えていくことになりそうです。
機械が人間の脳を超える時代はもうそこまでやってきていると言われています。しかし具体的にどのように暮らしを変えていくのかは映画の世界でしか理解できません。しかし音声を使った新しいデバイスは人間と機械の関係をより自然体にしていくでしょう。またその先には言葉だけでなく画像を読み取ることで表情や動作なども使ったコミュニケーションも可能になるでしょう。

 

機械の発達を怖いという人も多くいます。たしかに機械の発達を安易に喜ぶのは危険かもしれませんが、我々の生活は確実に日々機械によって変わっていっています。そして機械との関係は今、音声デバイスの出現によって画期的に変わろうとしているのです。
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