#113 マンションの冷暖房を考える

春夏秋冬、四季の移ろいがあり、自然の恵みや折々の美しさを楽しめる日本。ですが、盛夏には高温多湿、真冬になると寒さと乾燥に悩まされる場面も多いのではないでしょうか。

 

冷暖房は贅沢品ではなく、健康を守る必需品
伝統的な日本家屋に比べるとマンションは高断熱高気密に設計されていますが、それでも室内に温度差が生じがちです。エアコンや床暖房で室温を調整しても、廊下や玄関、洗面所には届かず、家の中に大きな温度差が出ることもあります。特に冬場は、トイレや脱衣所で気温の変化にさらされることによって血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳内出血が起こるヒートショックも懸念されます。対応策として家中の冷暖房を稼働し、扉を開けて行き渡らせることも考えられますが、環境への負荷が高くコストもかかるため、あまり現実的ではありません。
四季がある日本で、常に快適かつ健康に暮らすのに、最も適した空調は何でしょうか?

 

もし、家中どこにいても、同じ温度で過ごせるのなら?
ニューヨークやロンドンなど先進国の都市では、建物全体にセントラルヒーティングが取り入れられています。日本では居室ごとにエアコンを設置するのが一般的ですが、健康面や快適さを求めるのならば、マンション1住戸すべてを同じ気温に保つシステムも選択肢のひとつとなります。これまでは、1住戸丸ごとの空調はコストと環境負荷の面で課題がありましたが、三菱地所グループが開発した空調システムなど、懸念点を払拭した設備が登場してきています。住戸内のすみずみまで換気しながら快適に保つ空調システムは、人と環境にやさしい未来の冷暖房といえるかも知れません。現状では一部の新築戸建やリノベーションマンションで実装されている技術ですが、今後新築マンションでの導入が増えれば、ライフスタイルや間取りにも大きな影響を与えるのではないでしょうか。

 

マンションの間取りの自由度が高まる?
たとえば廊下を作らず、玄関を入ってすぐに広々としたリビングを設けたり、大きなワンルーム空間を間仕切り家具で仕切ったりする間取り。空調の効率を考慮して諦めていた方も多いかも知れません。ですが、この空調システムを取り入れれば家中どこにいても快適な温度になるでしょう。ならば、壁やドアを最小限にすることだってできそうです。逆に、家族が多くて個室がたくさん必要な場合も、エアコンを何台も設置する必要はなくなりそうです。家族の構成に合わせて、新築マンションの間取りのアイデアも広がりそうですね。

 

おうち時間が長いからこそ、もっと快適に
働き方改革とコロナ禍により在宅ワークが広がり、自宅内で過ごす時間が長くなってきています。また、高齢化が進む日本では、より安全で健康的な住まいが求められています。マンションの住戸内すべてを快適に保つ空調システムが、近い将来にはより身近な選択肢となりそうですね。みなさんは、どのような空調が理想ですか? ぜひご意見をお寄せください。


皆さまからのコメント

戸建てからマンションに住み替えて、何といっても冬暖かいのがうれしいですね。さらに家じゅうおなじ温度だともっと快適に過ごせそうです。ところで、家って広さとか収納とかデサインに注目しがちですけど冬暖かくて夏涼しいのがなにより大事だと、療養中でずっと家にいるようになって痛感しています。(東京都・女性・50代)